研究内容、商品開発および教材開発
① 研究紹介
1.両親媒性物質と種々薬物間に生成する結晶性分子複合体の構造解明とその薬剤学的応用についての研究
生体膜のモデルにもなっている両親媒性物質と様々な医薬品との複合体形成のメカニズムを解明するとともに、その複合体を利用した新しい機能性をもつ医薬・香粧品材料の開発を行っています。
- 両親媒性物質と種々薬物間に生成する結晶性分子複合体の形成メカニズムと構造解明
- 両親媒性物質と薬物間に形成する分子複合体の物性、機能性の検討と製剤学への応用
- 両親媒性物質分子複合体を利用する皮膚疾患治療薬、アンチエイジング剤の開発、材料化学への応用
- 新規ケミカルピーリング剤の開発
- 経皮吸収性高いアンチエイジング材料の開発
★これらの研究成果をもとに、商品開発を行っています。(企業との共同開発)
<研究概要>
両親媒性物質は、洗浄、分散、乳化、可溶化等々、多様な作用を持ち、製薬、食品加工をはじめ化粧品、繊維、機械などの産業界において広く利用されています。特に製剤領域では薬物安定化、溶解・吸収改善に応用されています。両親媒性物質は、cmc(critical micelle concentration)と呼ばれる濃度点を境に分子会合体(micelle)を作り、様々な薬物と相互作用しその溶液の性質を大きく変化させることが知られていますが、その相互作用を分子レベルで解明するには至っていませんでした。そこでその解明に挑み、micelle溶液を扱う過程で新規に発見した両親媒性物質と薬物間に形成される「結晶性分子複合体(図1)」の分子配列、形成メカニズムをX線を用いて検討したことで、micelle形成機構やその構造を分子レベルで解明することに成功しました。さらに分子複合体の物性や特性についても検討を重ね、薬物が両親媒性物質と分子複合体を形成することで、難水溶性薬物の水に対する溶解性が改善されること、熱、光、酸素等に不安定な薬物は安定性が向上することを見つけ、「薬物の両親媒性物質との分子複合体化」は、本来薬物単体が有する性質に新しい機能を付加できることを提案し、特許取得しました。その後本内容を製剤、香粧品科学領域に応用し、「新規色素沈着治療薬の開発(図2)」に取り組み、経済産業省をはじめとする多方面からの研究助成、支援により新規の色素沈着治療薬として有用性高い医薬材料の開発を行い、再び特許取得にこぎ着け、現在は医療機関や化粧品関連企業で利用されています。
2.医療現場で見られる多くの課題解決のための製剤学的観点からの研究
① 医薬品及び医薬品添加物と服薬ゼリーとの相互作用に関する研究
② 皮膚外用剤及び点眼剤の適正使用に関する研究
③ 褥瘡治療外用剤の適正使用及び患部緩和効果に関する研究
3.統合医療、代替医療に貢献する研究
① アロマセラピーに関する研究
② 商品開発
これまでの研究内容をもとに、商品開発を行いました。
飯村研究グループでは、これまでに両親媒性物質の特性や薬物との相互作用について、分子レベルでの解明を行っていました。その両親媒性物質のミセル溶液(両親媒性物質の水溶液中の分子会合)から、両親媒性物質と薬物間に形成される結晶性の分子複合体を世界に先駆けて発見し、それらの分子配列や分子複合体形成のメカニズムをX線を用いて明らかにすることを成功させました。
さらに、様々な薬物が両親媒性物質と分子複合体を形成することで、難水溶性薬物の水に対する溶解性が改善されることを発見しました。 また、熱や光、酸素等に不安定な薬物との形成では、それらの安定性の向上につながることを見つけ、「薬物の界面活性剤との分子複合体化」は、本来薬物単体が有する性質に新しい機能を付加できることを提案し、分子複合体の製造特許(特許第3900237号)を取得しました。そして、このような特徴をもつ分子複合体を製薬に応用できれば、難治性疾患に苦しむ患者さんを救うことができるのでは・・・という思いから、新規の「色素沈着治療薬の開発」にも着手しました。
この色素沈着に有効な成分として、ハイドロキノンに着目しました。ハイドロキノンは、シミの原因であるメラニン色素の産生を抑えるだけでなく、還元作用を発揮してメラニンの色を薄くする働きがある成分であり、既にシミを含む色素沈着の治療薬として、美容皮膚科で処方されたり多くの化粧品に配合されたりしている成分です。ハイドロキノンは非常に美白効果の高い成分として注目される一方で、その特性から安定性に欠けるという問題点があったり、高い効果を狙い高濃度で使用すると肌への刺激や負担も大きく、赤み・炎症・ ひりつきなどの副作用が出てしまうことがあり、注意が必要なものでした。
このような問題点を、これまでの研究で解明してきた分子複合体の性質や製造方法の技術で解消させることができると考え、研究を続けた結果、有用性が高く副作用の少ないハイドロキノンを含む新たな色素沈着治療薬の開発に成功し、2つ目の特許(特許第3712066号)も取得しました。
この治療薬は、先ず院内製剤、病院製剤として皮膚科、美容形成外科、産婦人科等の臨床現場において使用され、多くの色素沈着症の患者さんの症状回復に貢献し、その後、化粧品・美容関係者にも注目されるようになり、今回の美白スキンケア化粧品の実用化に結びつきました。
詳しい内容は、以下のページで紹介しています。
https://www.nupals.ac.jp/n-navi/walk/walk-14315/
③ 教育教材開発
1. 多職種連携教育に関する教材開発
現代社会において少⼦⾼齢化および疾病の多様化が⼤きく取り上げられ、患者さんやその家族は質の⾼い、安⼼で安全な医療の提供を求めています。医療福祉は患者さんを中⼼として薬剤師、看護師、理学・作業療法⼠、臨床検査技師、義肢装具⼠、視能訓練⼠、ソーシャルワーカー、⾔語聴覚⼠、社会福祉⼠、⻭科衛⽣⼠などの専⾨職と医師が機能的なチームを作り治療・ケアにあたる「専⾨職連携」へと変⾰しています。このような内容を低学年から学べるよう、またいつでも繰り返し学べるよう、WEBテキストとして、シナリオ教材(バーチャルペイシェントシステムの構築)を作成しました。この教材は、低学年用と高学年用に分けて、低学年では「入学直後教育」、中高学年では「多職種連携I,II」で使用しています。この教材は、近年の医療に不可⽋な多職種間連携、チーム医療を実践的に学べるよう工夫しています。(新潟県大学魅力向上支援事業補助金に採択され、開発いたしました。)
2.Web-campusの開発
本学の教育がスムーズに循環し、個々の学習者の能力開花へとつなげるため、本学が現有する様々なプログラム、システム、学習ツール、学習記録等が「学習プラットフォーム(図1)」上で連携できるようポートフォリオを含む学習プラットフォームの開発を行っています。この仕組みが整うことで、学生は、希望する学習等を様々な学習ツール、アプリケーション(ディスカッションシステムやチャット、問題演習・ドリルシステム等)を選択しながら進め、そのプロセスや成果・成績はポートフォリオとなって蓄積されます。ポートフォリオを通じて学生はコース担当教員と繋がり、ポートフォリオを確認しながら、双方向型学習指導が行えるように工夫しています。Web-campusに蓄積された教育リソース、学習者の学習過程や成果等が、6年間蓄積され、自身の大学生活における学習時間や到達度の記録として確認していくことができます。この仕組みを各科目の予習、復習等で利用し、学力向上はもちろんのこと、薬学共用試験、薬剤師国家試験の準備に役立ててください。(新潟県大学魅力向上支援事業補助金に採択され、開発いたしました。)